「染みる」と「浸みる」と「滲みる」と「沁みる」の違い、あなたは理解していますか?
声にすると同じ「しみる」という言葉。
文字で書くときに、その都度意味を調べてしまう人は多いかもしれません。
このページを読めば「染みる」と「浸みる」と「滲みる」と「沁みる」の違いがわかります。
広辞苑より
広辞苑 第七版で各言葉は次のように表現されています。
染みるの定義
「しむ」(五段)に同じ。
広辞苑 第七版 1340Pより [発行所:株式会社岩波書店]
とのことで、「染む」を広辞苑で調べると、
染色の液にひたって色のつく意から、あるものがいつのまにか他のものに深く移りついて、その性質や状態に変化・影響が現れる意。
広辞苑 第七版 1340Pより [発行所:株式会社岩波書店]
とのことで、「染む」「浸む」「滲む」「沁む」は広辞苑上では全て同じ意味となりました。
しかし「染」の字は”染める”や”汗染み”などに使われるように、布などに色がついた際に使用されます。
そのほか、”味が染みる”、”臭いが染みる”のように目に見えないものに対しても使用されます。
浸みるの定義
液体がぬれとおる。
広辞苑 第七版 1340Pより [発行所:株式会社岩波書店]
「しみる」には多くの意味がありますが、「浸」の字は”浸す(ひたす)”とも読むように、べしょべしょの状態を指します。
そのため、”雨が服に浸みる”のように、全体的に、或いは奥まで水分が浸透する際に使用されます。
滲みるの定義
「滲みる」はパソコンなどで変換するとすぐに出てきますが、実際にこの字を使用する場合は「滲む(にじむ)」と書く場合が多いです。
液体がしみこむ様を表す「浸みる」と同様の意味になるため、「浸みる」が使われることが多いですが、”インクが滲みる”などのようにじわじわとしみ広がっていく様を表す際には「滲みる」が使われることがあります。
沁みるの定義
強い印象を受けて深く感じる。痛みを覚える。
広辞苑 第七版 1340Pより [発行所:株式会社岩波書店]
とのことで、「沁みる」は”心に沁みる”や”目に沁みる”などのように心や体の感覚的なことを表す際に使用されることが分かりました。
つまり「染みる」と「浸みる」と「滲みる」と「沁みる」の違いは?
つまりそれぞれの違いは
- 染みるは「布などに色がついた際に多く使用される」
- 浸みるは「液体が浸透する様を表す」
- 滲みるは「”浸みる”と同じだが、”インクが滲みる”のように、じわじわとしみ出す様を表す際に使用される」
- 沁みるは「”心に沁みる”や”目に沁みる”のように心や体の感覚的なものを表す」
となります。
口にすると同じ「しみる」のため使い方に迷いますが、それぞれの持つ意味について考えると使い分けがしやすいかもしれません。
また、漢字を使い分けることでより細やかに様子を表すことが出来ます。
しかし、常用漢字表では「染みる」のみが「しみる」の読みで掲載されているため、実際にはひらがなで「しみる」と書いたり、全ての表現に「染みる」の字を使うことが多々あります。
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