旧字と異体字の違い、あなたは説明できますか?
「広」と「廣」のように同じ読みをする漢字の複雑な方を「旧字体」などと言いますが、旧字体と異体字の違いを理解している人はあまりいないかもしれません。
このページを読めば「旧字」と「異体字」の違いがわかります。
広辞苑より
広辞苑 第七版で各言葉は次のように表現されています。
旧字の定義
広辞苑には「旧字」ではなく、「旧字体」で掲載がありました。
1949年内閣告示の当用漢字字体表で定められた字体とは異なり、それ以前に使用されていた漢字の字体。常用漢字・人名用漢字についてもいう。
広辞苑 第七版 745Pより [発行所:株式会社岩波書店]
とのことで、旧字は正しくは「旧字体」であり、戦後に内閣が告示した漢字表に記載の無い漢字であり、明治時代より使われていた「漢字」の字体であることが分かりました。
また、当用漢字字体表で定められた漢字はそれまで使用していた旧字体よりも整理され、簡略化されているため旧字体はより複雑で細かい文字が多くなります。
例えば「広」の旧字体は「廣」、「来」の旧字体は「來」、「沢」の旧字体は「澤」などのようにかなり簡単になっていることが分かります。
日頃使用することのない旧字体ですが、人の名字はそのまま受け継がれていくため「廣」や「澤」など旧字体が多く使用され、消えることはないと思われます。
また、旧字体の姓を持つ人は普段は簡単な新字体を使用していても、公式な書類などは戸籍に基づいた旧字体を使用する必要があります。
異体字の定義
「異体字」を広辞苑で調べると、
漢字や仮名の標準字体以外のもの。異体文字。
広辞苑 第七版 165Pより [発行所:株式会社岩波書店]
とのことで、標準の字体とは異なるが文字の読みや意味が同じであり、置き換えることのできるものを「異体字」ということが分かりました。
例えば、「涙と泪」、「伝と傳」、「曽と曾」などです。
異体字には略字や書き癖などによって別の字となったものなども含むため、かなりの数があり、その中に「旧字体」も含みます。
つまり「旧字」と「異体字」の違いは?
つまりそれぞれの違いは
- 旧字は「明治時代より使用されていた古い漢字で、現在一般に使用されている新字体よりも複雑な字体」
- 異体字は「標準の字体とは異なるが読みや意味が同じで、置き換えが出来るもの」
となり、似ている両者ですが、異体字=旧字体ではなく、異体字の中に旧字体が含まれていることが分かりました。
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