「遊牧」と「放牧」と「移牧」の違い、あなたは説明できますか?
いずれも家畜を飼うための方法ですが、それぞれに明確な違いはあるのでしょうか。

このページを読めば「遊牧」と「放牧」と「移牧」の違いがわかります。
広辞苑より
広辞苑 第七版で各言葉は次のように表現されています。
遊牧の定義
「遊牧」を広辞苑で調べると、
牧草や水を求めて一定の領域内を馬・牛・羊などの家畜の群れとともに季節的・周期的に移動する牧畜形態。その家畜の乳・毛皮・肉などを主な生活・交易手段とする。
広辞苑 第七版 より [発行所:株式会社岩波書店]
とのことで、「遊牧」は季節や牧草の状態に応じて広い範囲を移動しながら生活する牧畜の形態であることがわかりました。
モンゴル高原や中央アジア、中東などのように、農業には不向きな地域で発展してきた文化で、1か所に定住せず移動可能な住居を使って生活します。
自然と共存し、季節ごとに最適な環境を求めて生活の場を移すスタイルです。

放牧の定義
「放牧」を広辞苑で調べると、
牛・馬・羊などを放し飼いにすること。
広辞苑 第七版 より [発行所:株式会社岩波書店]
とのことで、「放牧」はきまった草地や山などに放して自由に草を食べさせる牧畜の形態であることがわかりました。
日本の牧場などでよく見られるスタイルで、主に牛、馬、羊、山羊などを飼育します。
一般的には決まった場所に牧草地を設け、家畜が自由に草を食べて歩き回れるようにしています。
放牧は家畜にストレスをかけにくく、健康的に育てることができるメリットがあります。

移牧の定義
「移牧」を広辞苑で調べると、
牧畜の一形態。夏は涼しい高地、冬は暖かい低地など、季節ごとにきまった放牧地の間を移動するもの。
広辞苑 第七版 より [発行所:株式会社岩波書店]
とのことで、「移牧」は季節に応じて定期的に家畜を異なる場所に移動させ、放牧する牧畜の形態であることがわかりました。
移牧は気候や環境の変化に合わせて移動を行いますが、あくまで「定住地を持ちながら季節ごとに放牧地を変える」形式なので、生活の基盤は移動しないというところが遊牧とは異なります。
ヨーロッパのアルプス山脈周辺や、アジアの一部地域などで伝統的に行われています。

つまり「遊牧」と「放牧」と「移牧」の違いは?
つまりそれぞれの違いは
- 遊牧は「季節や環境に応じて広い範囲を移動しながら生活する」
- 放牧は「定住した状態で、家畜を草地や山などに放して自由に草を食べさせる」
- 移牧は「住んでいる場所はそのままで、放牧する場所を季節ごとに変える」
となり、「遊牧」は人間が生活の場所を移しながら家畜とともに移動するのに対し、「放牧」と「移牧」は人間の生活拠点は定まっていて、家畜の生活場所が季節ごとに変わるかどうかが違う、ということが分かりました。
「家畜と家禽(かきん)の違い」についてもまとめています。







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