「内縁」と「事実婚」の違い、あなたは説明できますか?
どちらも籍を入れないまま夫婦と似たような関係を築いている状態を指す言葉ですが、両者に明確な違いはあるのでしょうか。
このページを読めば「内縁」と「事実婚」の違いがわかります。
広辞苑より
広辞苑 第七版で各言葉は次のように表現されています。
内縁の定義
「内縁」を広辞苑で調べると、
事実上夫婦として生活しながら、所定の届出を欠くため、法律上の婚姻に至らない男女の関係。
広辞苑 第七版 2146Pより [発行所:株式会社岩波書店]
とのことで、「内縁」は婚姻届を出していないが、事実上夫婦として生活している状態であることがわかりました。
明治時代の民法において、
- 婚姻には家長の同意が必要
- 男性は30歳、女性は25歳に達するまで婚姻には親の同意が必要
- 推定家督相続人(長男・長女)は他家へ入ることができない
などの制約があり、婚姻届を出したくても出せない状況がありました。
その他、婚姻届けの必要性の認知度が低いなどの理由からも内縁関係にある家庭が多く、女性の社会的・経済的立場の弱さが問題視されました。
現在は、内縁配偶者には法婚姻とほぼ同程度の権利が認められています。
しかし、相続権がないこと、保険や税金などの一部控除を受けられないという点では法婚姻と異なります。
事実婚の定義
「事実婚」を広辞苑で調べると、
法律上の要件(届出)を欠くが、事実上夫婦としての実体を有する関係。内縁の類。
広辞苑 第七版 1276Pより [発行所:株式会社岩波書店]
とのことで、「事実婚」も婚姻届を出していないが事実上夫婦の関係にあり、内縁とほぼ同じ意味であることがわかりました。
また、事実婚は当事者間の主体的・意図的な選択によって婚姻届を提出しない場合を指すことが多く、内縁と区別するために「選択的事実婚」と呼ばれることもあります。
事実婚を選択する理由としては、夫婦別姓、戸籍に影響しない、生活の自由などが挙げられます。
つまり「内縁」と「事実婚」の違いは?
つまりそれぞれの違いは
- 内縁は「やむをえない事情があって婚姻届を出していないが、事実上夫婦の関係」
- 事実婚は「あえて婚姻届を出していないが、事実上夫婦の関係」
となり、どちらも夫婦関係にありながら婚姻届を出していませんが、その背景として「内縁」は婚姻届を出せない何らかの理由があるのに対し、「事実婚」は婚姻届を意図的に出さない、という点で異なることが分かりました。
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